その後も団子に入れなかったソウマールだが。。。
次の試合も、そのまた次の試合も
ソウマールは団子の中に入れませんでした。
オヤマールの怒りは溜まります。
それをぶつけてもみました。けれど、それでもソウマールは変わりません。
そこで
オヤマールは角度を変えてみました。
「ソウマール」
「なぁに?」
「いいか。そこまで頑なに団子の中に入らないなら、もういいぞ。もう団子の中に入るな」
「え?お団子に入らなくていいの?」
「あぁ、ただし」オヤマールはいう。「団子に入らない代わりに、パスをもらおう」
「パス?」
「そう、パスだ。大きな声を出して仲間からパスをもらうんだ。もし、パスがもらえれば、その先にはもうゴールしかないんだぞ」
「本当?ゴールだけ? ぼくやる!」
「頑張れよ!(本当はキーパーもいるけどな(笑))」
そして次の試合。
彼は勇気を振り絞り、大声でパスを要求しました。
「へい。へい。へーい。パース。パース♪」
ソウマールは
ハリキリながら、団子の周りをお遊戯のように回りだします。その姿は。。。
。。。もうなんていったらいいのかなぁ(笑)
それは。。。
もう、サッカーではなく、新たなカバディみたいなスポーツをソウマール1人が考え、はじめたかのように見えました。
ソウマールは
なおも、大声で団子の周りをグルグル回っております。
「へい。へい。ちょうだいよぉ~パス。ちょうだいよぉ。こっちだよぉ~」
。。。
奇妙な民族ダンスは試合が終わるまで続きました(笑)
試合後、
オヤマールはすぐにソウマールを呼びました。
「(笑)いいか、ソウマール。団子の周りを回るのは、やっぱり止めよう。奇妙だ。民族がキャンプファイアーの周りを踊ってるようだぞ」
「パパ、奇妙って、どういうことぉ?」
「ソウマールのことだ。それより」
オヤマールはいいました。
「今度は片方の手でゴールを指差し、もう片方の手でボールを指差すんだ。ボールとゴールの両方が見える場所だ。いいな、そこが一番良いポジションなんだ!そこにいれば。。。」
「ゴール!!🥅」
「正解!」
「僕、行ってくる!」
ソウマールは2試合目にいきました。
結果。。。
奇妙なダンスに更に手がつき、ゴールとボールを交互に指差してます。
「へい。へい。へーい。パス!パース♪」
声と手が同時に動き、それはまるで宇宙人と交信をしているような、人をおちょくっているような具合になってしまい、
回りから爆笑が巻き起こり。。。もちろん。すぐに交代させられました。
「へい。へい。へーい。パース。パース♪。。。なんでぇ?」
。。。ソウマール。
私が悪かった。
その日、コーチにソウマールはこっぴどく怒られました。。。
その後
ソウマールに「パスをもらえ」だとか、「団子に入れ」とか言わなくなりました。
当然、奇妙なダンスもなくなりました。
。。。もちろん
団子を経験することもありませんでした。
ただ。。。
いつの間にか
団子から転がり出てくるボールや、そこから抜け出ようとドリブルしてくる子供の場所が、なぜか彼には分かり、
少しずつだけどボールに触れるようになりました。。。なに、この能力は(笑)
※ちなみにネイマールも子供の頃、団子には入らなかったそうです。